鶏がら牛スジラーメン 2012/12/31
年末には恒例のラーメン作りです。我が家の年越し蕎麦はそう、ラーメン(中華そば)です。一年間の締めくくりにラーメンを作る。美味く作れたらその年はいい年だし、新年もいいスタートを切れるという大事な場面ですので気合いが入ります。今年も腕が鳴りますね。
鶏がら牛スジスープレシピ(約10人分)
具材 |
分量 |
備考 |
昆布 |
104g |
羅臼昆布を使用 |
鶏がら |
4羽 |
近所の精肉店で購入 |
牛スジ |
500g |
これも精肉店で購入 |
にんにく |
3かけ |
|
ネギ |
1本分 |
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セロリの葉 |
少々 |
冷蔵庫の残り物で。お好みで!! |
パセリの茎 |
少々 |
冷蔵庫の残り物で。これもお好みで!! |
白菜 |
4枚 |
冷蔵庫の残り物で。 |
干し貝柱 |
50g |
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水 |
6L |
ふつうの水道水 |
チャーシュー用の豚肉 |
500g |
バラ肉 |
鶏がら牛スジスープ
近所にAZという巨大スーパーがありまして、そこに業務用の羅臼昆布パックが売っていました。随分前に購入しましたが、湿気防止のチャック袋ですので品質は問題ありませんでした。出汁用の物のようで見た目はあまりよくありませんが、よい出汁がとれればそれでいいのです。
まあ見事に白い粉が吹いていますね。これマンニット(あるいはマンニトール)って言って糖アルコールという「うま味成分」です。昆布などに多く含まれて表面に粉状に析出します。知らない人はカビが生えたって洗い落としてしまう人もいますが、天然の甘味成分ですのでそのまま使っちゃいます。
久々の寸胴登場です。今回は約10人前程度のスープを作ります。鶏がらと牛スジのスープストックですので、余ったら冷凍し、様々な料理に使います。カレーの水の代わりにこのスープを使えば家庭の味をレストラン並みに引き上げますよ。ちょっと言いすぎかな?まぁ、しかし、いろんな料理に使えますよ。 ラーメン作りも主婦の味方になれば奥さんも喜んで応援してくれますよ(笑)

寸胴鍋 アルミ 業務用 36cm KIPROSTAR
まずは鶏がら投入。近所の今肉屋さんっていう精肉店から購入しました。 ここのお肉は品質がよくて安いのが売り。もっぱら牛肉がメインなんですが、鶏肉も扱っております。 鶏がらは肉のそぎ方が粗く、ガラにたっぷりと肉や皮が付いていてお得間満載です。 雑味をなくすために通常はガラを良く洗って湯通しするという作業をしますが、うま味を逃すのがもったいないということでそのまま鍋に投入です。 その代わり灰汁取りはこの後しっかりしなくてはなりませんが。
羅臼昆布を水で戻して1hほど置いておきました。 すっかりとふにゃふにゃになっていますね。水で戻す場合には冬場は3h、夏場は1h程度あればよいそうですが、1hほどで水戻しを終了します。 これをそのまま鍋に投入し、水を追加して投入、水量はトータル6Lとしました。 羅臼昆布は濃い出汁が出るのが特徴ですが、出汁が濁ってしまうという点もあります。私の作るラーメンには京都料理のような澄んだスープまでは必要ありませんので羅臼昆布が最適ですね。
鶏がらと昆布を入れてから強火でしばらく煮やします。 沸騰直前になったらポコポコ泡が出ますが、そのタイミングで昆布を取り出します。 あまり温度の高い状態にしておくと昆布に含まれるぬるぬる成分であるアルギン酸やヨウ素などが出てきてしまいエグ味や黄色っぽい色の元になってしまいます。
沸騰が始まると灰汁がばんばん出てきます。 ここですばやく灰汁を取ってしまいます。灰汁取りをしっかりしないとスープが濁りますし、雑味が出てスープがおいしくありません。ここが勝負です。
灰汁を取り終えた状態です。ここまでくれば後は中火から弱火で沸騰させないようにじっくり煮込むだけです。 沸騰させると中の具が踊ってしまいスープに濁りが出てきます。好みになりますが、スッキリした見栄えや味にしようと思えば沸騰させないのが一番。 沸騰させればそれはそれでいいスープになります。私は前者が好みなので沸騰させずに6時間煮込みます。
鶏がらの灰汁を取りきってから牛スジを入れました。ぐらぐら煮やしているときに灰汁が肉に付着するのが嫌だったので。 セロリの葉っぱとパセリの茎も入れて再度火を強めて牛スジの灰汁も取ります。 その後はじっくりと煮込みます。そうそう、ネギを入れるのは灰汁をとった後がいいです。灰汁を取る前だと葉っぱに灰汁が付いてしまうし、なにせ灰汁が取りにくいです。
4時間ほどしてからチャーシュー用の肉と白菜を入れました。 このタイミングで入れるのは理由があります、チャーシューの場合は単なる入れ忘れです。お恥ずかしい(笑) 本当は牛スジと一緒に入れてと思っていたのですが、すっかり忘れていました。しかし、時間的には最適かと思います。チャーシューは入れている時間が長いほど柔らかくなりますが、スープにうま味がどんどん出てしまいます。したがって、入れておくのは1hか2hがよいと思います。そうすると美味いチャーシューが作れますよ。 チャーシューを入れた後は灰汁鶏のために沸騰させないといけないので、澄んだスープを目指す場合にはこの時点での投入は最悪ですね。(笑) 白菜の方は煮やす時間が動物系の食材よりも短い方がよいという理由があります。白菜の味を出しすぎないってところがポイントです。白菜鍋を思い出してください。作りたてはシャキシャキして美味しいし、スープもほのかな甘みと香りがあり、スッキリしています。ところが火を通しすぎてしまうと白菜の味がかなりスープに移り、くどさを感じます。そういう意味で終了の数時間前に入れるのがポイントと思います。 合計で6時間煮込んで完成です。濁りが出ないようにゆっくりと食材を引き上げて終了します。
チャーシューは1hほどしてから取り出してご自慢のたれにつけます。 タレのレシピはここに公開しています。→煮豚チャーシュー
何度も継ぎ足しながらストックしたタレはまさにこれこそ伝統のタレと言っても間違いないでしょう。 チャーシューダレで煮込むのも1h程度、後はタレにつけたまま冷却します。予熱がとれたら冷蔵庫で一晩寝かしてしまいます。タレにつけたまま冷却するのがポイントです。 熱いまま取り出してしまうとぱさぱさのチャーシューになってしまいます。つけたまま冷却することで中はジューシーのままキープできますよ。
国内小麦を使った自家製麺
自家製麺レシピ(4人分)
具材 |
分量 |
備考 |
キタノカオリ |
300g |
国産小麦 |
デュラム粉 |
60 |
細引き |
カンスイ |
10g |
ボーメ35 |
塩 |
12g |
ゲランドの塩 |
水 |
151g |
加水率42% |
スッキリしたスープには美味い小麦を使った麺でなければダメです。 麺がスープに負けてしまっては美味しいラーメンは出来ません。最近は味と香りのよい国産小麦を使用します。パン用の強力粉を使用しますが、国産はたんぱく質量が少なくコシが足りません。 そこで佐野実氏が考案した「絹ごし和伊麺」を真似て、デュラム粉の細引きを国産小麦の20%分入れてたんぱく質の不足を補間します。これを入れると麺のコシが随分と変わりますよ。
私の方針としては国内小麦をメインで使用する場合には玉子は使用しません。せっかくの国内小麦の美味しさを玉子の風味で消してしまうからです。また、スッキリとしたスープにも玉子の味が移ってしまうのでこれも嫌いです。 玉子麺を否定するわけではありません。それはそれで美味いですが、好みの問題です。美味しくない麺には玉子を入れて美味しくすべきと思います。

強力粉 キタノカオリ 北海道岩見沢産限定 パン用小麦粉 2.5kgチャック袋

デュラム粉 デュエリオ パン用小麦粉 2.5kgチャック袋
カンスイは一度買ってしまったらおそらく一生かわずに済むかも。っていうくらい少ししか使いません。 ラーメン作りを始めるにあたって1.8L分買いましたが、ほとんど減っていませんね。麺を知り尽くすにはいろいろなカンスイを使ってみる必要があると思いますが、まだその域には至っていません。 その代わりに塩でいろいろと試しています。カンスイに含まれる成分はほとんどアルカリ土類やアルカリ金属などのイオン。内モンゴルカンスイを使った麺が美味いって言うのもカンスイに含まれるミネラルが他のものと違っているだけだと思うので、使用する塩を変えれば同じことではないかと思います。どうかな??
使っているカンスイは35度、炭酸カリウム31%、炭酸ナトリウム7%というもの。内モンゴルカンスイは炭酸ナトリウム主体とのことで、この違いがあるのか?
塩はゲランドの塩を使用。この塩はフランスの塩で完全天日干しの製法で作られていて、料理やパンに使われるようです。かみさんがバゲットを作るのに購入したので使わせてもらいました。天然のミネラルをふんだんに含んでいて、うま味たっぷりです。

かん水 1.8L 1本

ゲランドの塩 1kg / しお / 顆粒タイプ
水回しという作業です。「カンスイを少し入れては良くかき混ぜる」を繰り返します。決して捏ねないで下さい。とにかく均一に水が行き渡るように混ぜます。 水の量は粉に対して42%(加水率42%)で、通常30-35%程度と言われているので多加水麺ですね。ラーメン博物館のHPを見ると、博多の麺は24-28%、喜多方の麺は38-43%、白川ラーメンは42-47%、のようです。 水の量が多いとツルツルとした表面で伸びにくいがスープとの相性をあわせにくい、少ないと固めの食感で伸びやすいがスープをしっかりと吸うのでスープとの一体感がでやすいというような特徴があるようです。
ひたすら混ぜて大きな塊ができないようにほぐしていきます。見た目や手触りで粉っぽさがなくなったら混ぜ終了です。 粉っぽさが残っているとこの後の「まとめ」で上手くつながらず、その後の製麺がしにくいのでこの作業は丁寧にする必要がありますね。
よく混ぜた粉をまとめた様子です。あまり力を入れずにまとめます。軽く空気を抜くためにゴロゴロと軽く押したりする程度です。 この後ラップにくるんで1hほど冷蔵庫で寝かせます。冷蔵庫で寝かすと全体的にしっとり感が出ます。 一般的には厚めに製麺したものをロール状に巻いて寝かしたりするようですが、数人前程度ではロールに巻くほどの量もありませんし、私の場合はまとめた後に寝かすようにしています。
パスタマシーンは必需品です。ラーメンは加水が少なくコシが強いのでパスタマシーンで伸ばす方が様々な加水率に対応できていいと思います。 手延べで行こうとすると加水率は多めにしなくてはなりませんね。 このパスタマシーンは自家製ラーメンを始めるときに寸胴と一緒に買いました。しっかりと手入れをしておけば長持ちしますよ。

家庭用製麺機 パスタマシーン ハイエース
まとめた塊を4等分にして、1個ずつ(133g)製麺機で延ばします。最初はめん棒である程度の厚みまで持って行き、その後にダイヤルの目が大きいほうから順に圧延していきます。
私のパスタマシーンは6段階あり、6−4まで圧延した後、3つに折りたたんで更に圧延を行います。 2回目は6−3まで圧延して終了。圧延しすぎると麺が固くなりすぎて割れたりしますので見極めが大切です。
圧延の後は麺切りです。私は今のところ1種類の刃しか持っていません。 30mmの中で何本の麺が取れるかを示したのが麺線というそうです。20番くらいですので1.5mmくらいの幅になります。
延ばした麺の表面に片栗粉の打ち粉をして切断します。切断後も片栗粉の打ち粉をして麺がくっつかないようにします。
美しく切りそろえられた麺は、見ただけで食欲をそそります。 これを一晩冷蔵庫で保管して使います。つまり、前日に仕込んでおくということです。寝かすことで麺のコシが増してラーメンらしくなります。出来立てすぐもいいのですが、どうも物足りない気がしますので私は一晩置くことにしています。
鶏がら牛スジラーメンの完成
年末年始のめでたい食事なので赤いお盆に乗せてみました。 スッキリとした色のスープ、今回はスープがかなり美味く出来たのでシンプルに塩のみ味付けにしていただきです。いいスープは本当にタレいらずですね。見た目もシンプルに具はチャーシューとネギの細切りのみ。 かなり上出来だと思います。
麺もいい感じに仕上がっています。 茹で時間は沸騰した大量のお湯に投入後、再沸騰させて取り上げるまで合計1分で終了。細いため短い時間で十分です。 しっかりと湯切りしてからどんぶりに移します。
食後の感想
☆☆☆☆☆
今回は完成度が非常に高く、かみさんからも好評でした。これ以上語る必要はないですね。 我が家の定番にしてもよいのではないかと思います。このレベルであれば知り合いや友人にもご馳走できるのではと思います。
今回は久しぶりのアップだったので長々と語ってしまいました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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